今回は広告と告知。(翻訳の新記事が読みたい人は、当記事ではなくこちらを読んで)。
まず、10月の『独裁者の教養』に続いて、去る12月15日付けで次の本が出ました。
中国・電脳大国の嘘 「ネット世論」に騙されてはいけない(文藝春秋) 安田峰俊
担当編集者は、以前に『諸君!』の編集長を務めておられたベテランのS氏。
実は本の企画が2010年6月ごろから通っていたにも関わらず、
そうだ、アヘン軍閥行こう。とかバカなことばっかりやっていて延び延びになっていたのだ。
で、「フッ。私をここまで待たせてもいい書き手の方は桜●よ●こさんと安田君くらいだねえ。
世の中には偉い作家さんがいっぱいいるねえ……」
と赤ワインを片手に言われて怖かったので、7月から10月前半にかけて2カ月半で一気に書いた。
だけれど、執筆期間の短さに比して、正直言って結構満足できる内容でもあるのだ。
今回のベースになっているのは、
1.「最近、中国のネット事情とかアニメで日中交流とか、メディアで持て囃されすぎじゃね?」
2.「『中国人の本音』を、現在の自分の見解に沿って結論まで書き直したらどうなるか」。
このふたつになっている。
まず「1.」について。各位いかが思われるだろうか。
自分自身が長年そういうブログを運営していてアレなんだが、
最近、本屋やらネット記事やら、新聞やらテレビやらにおける
「中国ネット世論」と「アニメ文化交流」って
ちょっとばかり持て囃されすぎじゃね? (本来、そこまで信頼できなくね?)と思うのだ。
特に中国ネット世論への注目については、今年夏の高速鉄道衝突事故からが顕著だ。
最近の中国ニュースで、むちゃくちゃしょうもない事件(例.CCTVでやらせ発覚とかw)に対してすら
「中国ネット世論の反応が……」「ネット上では政府批判が沸騰」みたいな言葉が記事の末尾を飾るのは、
もはや毎度おなじみのことになりつつある。
過去、2008〜2009年ごろ、うちとか『ansan'sの楽しい中国新聞』あたりが
向こうの掲示板をチミチミ訳して紹介していた頃に、コメント欄に
「日本の国内メディアが注目しようとしない中国の事情がわかって助かります」的な意見が
けっこう見られたのを思い出すと、なんだか隔世の感がある。
……だが、どうも違和感を覚えるのも事実じゃないだろうか。
「中国ネット世論」や「日本アニメで日中相互理解」を重視していく、という昨今の現象。
従来からネットなりアニメなりを高く評価してきた人たちが、
その文脈の上で論じているならまだしもわからんでもないけれど、
実態がむしろそうではないのはご存知の通りだろう。
だって、現在、こうした主張をけっこう無批判に流している大手メディア様たちって、
ちょっと前までは「ネットの闇」とか「フィギュア萌え族」とか
ネットやアニメに対して偏見バリバリで犯罪の温床みたいに取り扱ってきた張本人そのものではなかったか。
「ネットの情報は信頼できない。新聞を読もう」という社説とか、
「犯人の部屋から美少女ゲームが見つかり……」と因果関係不明の説明をするTVのレポーターの姿とか、
彼ら自身は忘れていても、それを言われた俺らは忘れちゃいないッスよ、ねえ?
と、そのくらいの文句は言いたくもなる。
にもかかわらず、ネットの書き込みやアニメが、
中国報道やら、個々の「中国通」の記者や識者の主張の補強に役立つらしいとわかるや、
彼らは「ネットの闇」を「中国人の本音が垣間見える貴重な窓(笑)」だと説明するし、
「フィギュア萌え族」や「大人になりきれないネクラなオタク君(by 80年代価値観)」が
見るものだったはずのアニメは「日中の若者による相互理解と交流の舞台(笑)」になってしまう。
はなはだしくは、アダルトビデオまで「日中相互理解のかけはし(笑)」になってしまう。
で、「知ってたわー。俺ら前から、ネットとアニメ大事だと思ってたわー」という、
地獄のミサワみたいなドヤ顔で、それらが紹介されてしまうのである。
おいおい。どんだけ皮相上滑りなんだという話であり、
こりゃーなんぼなんでも変な事態だと言うしかないだろう。
……特にだな。「AVで日中友好」とかだな、
それをまともなメディアの人が取り上げるとか冗談キツイっしょオイ。
ぶっちゃけAVとは何かというと、
20歳そこらの女の子がカメラの前でアナルまで大公開して男優のものをバコバコはめる猥褻映像を
頭にヤがつく系のアンダーグランドな人たちが売りさばいて、
それを生活に疲れたカネの無いリーマンがビデオBOXで2時間6本1000円で見てスッキリするとか
ニートが父親のクレカでD●Mの動画をDLして「ゴミ箱を妊娠させる気?」状態で視聴するとか、
中学生が国道沿いのAV自販機に突撃したら免許証での成人チェック必須で玉砕して帰宅するとか、
要するにそういう構図がデフォの、限りなくどうしようもない残念系のダメ文化じゃねーかと。
(注、上記の描写が妙にリアルなのは気にしてはいけない)
もちろん、職業や業界に貴賎は無いし、
俺自身もむかし、ある事情で女優の晶エリーさんに会ったことがあるのだけれど、
プロの矜持を強く感じさせるキレイでかっこいい女性だった。
AVそのものにしても、カメラアングルその他でマジなエロさを表現し切っている作品については、
「この監督すげえ」とリモコン片手に惜しみない称賛を送りたくもなる(どの業界にも真のプロはいる)。
でも一方、AVがあまり表社会には出せない「残念系文化」であることも、やはり確かなことではないか。
こういう残念系文化が生み出す影響というのは、
うちみたいなB級ブログとか2chまとめブログとか、せいぜいSPA!とか週刊プレイボーイとかが
面白半分で「AVで日中友好かよwワロスww」と取り上げるくらいが本来しかるべきところだろう。
少なくとも、権威ある大メディアのエリート社員が上等なスーツ着ながらAV女優にインタビューして、
「彼女は意外と聡明であり」「その飾らない姿勢が両国の心の交流を生んだ(感動)」みたいなことを、
権威ある媒体で大真面目に書いておられるのは明らかに大迷走でしょと。
というか、誰かちゃんと突っ込んであげてよ! それはナンセンスすぎると!!
※「日中友好の新たな旗手」の出演作は『バコバコ乱交』とか『Sola様のM調教』とか『逆ソープ天国』なんだからな?
リベラル系の文脈から彼女を持ち上げている真面目な人たちは、その事実に対して誠実にちゃんと向き合っているのかい?
……とまあ、要するにそういうことである。
ただし、今回の本では「だから“マスゴミ”たちは偉そうな振りしてるだけで実はアホなんだ」みたいな
そういう酸っぱいブドウみたいな話をするつもりはない。
話題として不景気だし、それを主張しても生産的じゃないと思うからだ。
今回の本の内容というのは、
なぜそんな立派な大メディアや、俺らなんぞより余程勉強ができて賢いはずの人たちが、
こと中国の問題になるとアホな薄っぺらい話題に対してネタにマジレスしてしまうのか?
大メディアをはじめ真面目な人たちはどうして、
従来の「ネット&アニメ=悪」という姿勢からあっさり掌を返してまで
「中国民主化のめざめ」や「日中相互理解」という理想論を追いかける習性を持つのか―――?
という問題について、日中関係史の背景含めて解明していくという内容になっている。
もちろん、その過程においては、
「ネットは中国を変える」、「微博は中国を変える」、「アニメで日中相互理解」といった、
昨今の皮相上滑り系キーワードの内実の空虚さをキチキチ検証していくという作業もおこなっている。
※上記の話をフォローしておくと、実のところ大手メディアの中の人には、しっかりしている人も頭のいい人も非常にたくさんいる。
また、大手メディアが「権威」であることそれ自体も、あながち悪いことでは決してないと思う。
例えば、メディアが全部、東スポとかゲンダイになっちゃったり、
朝日新聞やNHKがハロワを通じてニートばっかりを記者職に採用したりする方がよっぽどヤバいはずである。
※そして、ここはブログだから挑発的に書いているが、実際の書籍の内容は落ち着いた文体でけっこう大人しい。
AVの話とかはそんなに多くは出てこないw
次に「2.」について。
この前、『KINBRICKS NOW』の管理人との対談で、こんな話が出た。
『中国人の本音』って、有名編集者の堀田純司さんが執筆段階で担当してくれたお蔭で、
すごくきれいな内容にまとまったし、中国情報としても良い本だったと思うんだけど、
「著者の意見」はあんまり無いんですよ。
紙の媒体で書くのが初めてのブロガーが、何をどう書けばいいのかわからないまま、
序論から結論まで堀田さんにおんぶされてゴールに連れて行ってもらった感がある。
もちろん、当時の自分の実力では
編集者に思い切り助けてもらわなきゃ1冊の本は書けなかった。
でも、完成した本からは著者自身の姿はあまり見えてこないし、
アクがなくてノッペラボーな印象もあったのも事実なんです。(略)
ただ、それでも「自分は『中国人の本音』での役割を守らなきゃいけないんだ」とか思うわけです。
100%自分の力で作ったわけでもない本に囚われすぎた。
「借り物の力なんか全部捨てちまえ!」と思い切るのに1年かかりました。
29歳の「中国ネットウォッチャー」がなぜ独裁王国に潜入したのか?安田峰俊『独裁者の教養』出版記念インタビュー(1)
要は、第一冊目の『中国人の本音』。
本のなかで出てくる個々の事例は正しいし、確かに俺が拾ってきて俺が書いているのだけれど、
「ネット(orアニメ)で民主化」とか「民間ベースでの日中相互理解」とか
「目覚めた中国人は徐々に増えていく」みたいな論そのものは、
ぶっちゃけた話、執筆の時点で自分自身が必ずしも明確にそういう主張を持っていたわけではないのだ。
※とはいえ、当時の自分がそれ以外に何か確固たる考えがあったわけでもない。
いまだから言うけれど、あの当時の時点では、 バリバリの日中友好論を掲げろと言われても“シナ人”排斥論を掲げろと言われても
おそらく「商売」として受け入れて、指示に従ってそういう本を作っていた可能性が非常に高い。
ただ、幸い当時の編集者の方は自分にとって比較的受け入れやすい論を提示してくれたので、それに従って書いたということなのだ)
しかし、編集者の方に序論から結論まで作ってもらって書いた本は、
当然ながら一冊の書籍としての出来は非常によいものになったものの、
その編集者が身辺からいなくなれば次の本では何も書けなくなる。
自分の本当の内面から、モノを考えて書いていたわけではないからだ。
それでしばらく困ってたんだが、最近いろいろやっていて
何となく自分の主張を形にできるようになったし、難しいことを考えるようにもなった。
そこでできたのが今回の本で、
自分の見解にもとづいた「中国論」を書いてみたのだ。
≪目次≫
◆はじめに
◆第1章 「日中アニメ文化交流」の嘘
辺境の街の「昇龍拳」/「日中文化交流」は本当に可能か?/宇多田ヒカルを歌う「反日」青年/
事実の本当、願望の嘘/「民工」たちの見るアニメ/「消費対象」としての外国文化/
ゼロコンマ以下の変化/思い入れ日中文化交流論
<コラム>「蒼井そら」ブームを斜め読みする
◆第2章 「対日感情」の嘘
骨董商のピンチ/「対日世論」をつくるもの/「反日」の背景/
「政治(ヂェンヂー)」としての反日デモ―2005年―/「政治(ヂェンヂー)」としての反日デモ―2010年―
/大きくブレる「ネット世論」/「親日」ネット世論の背景/蛇口が握られる「対日感情」
<コラム>「信頼できる」中国ネット世論
◆第3章 「ネット世論」の嘘
高速鉄道衝突事故、現地報告/中国世論の「分裂」 /「いちびり精神」の体制批判/
中国「ネット世論」の限界/中国版“ウェブはバカと暇人のもの”/
「ネット右翼」と「新意見階層」/開き直る中国政府と踊る日本人
<コラム>パクリかインスパイアか? 中国国産系ウェブサービスの怪
◆第4章 「ツイッター革命論」の嘘
あるギークとの出会い/「紅い万里の長城」に囲まれて/中国ネットユーザーの「超」最先端/
中国ツイッター民の素顔(一) ネット大好きの「ITオタク」/
中国ツイッター民の素顔(二) 外資企業社員と共産党員、現代中国社会の「エリート」たち/
中国ツイッター民の素顔(三) 「反体制派」の女性/
「IT人」たちの限界/「洋秀才」と「皇帝」
<コラム>辛亥革命とは何だったのか? 一〇〇年前の大事件を考える
◆第5章 「変化する中国」の嘘
「中国人民の性質」とは何か/韓寒・劉暁波・魏京生・魯迅・孫文・陳独秀・鄒容/
「バカばかり」の国――孫文とジャッキー・チェンの共通点とは?/
一〇〇年間、変われない中国人/「中国蔑視論」の誘惑/カン違いした人々/
「無限回廊」から脱出する処方箋
<コラム>「保守」と「革新」から考える日本人の中国観
◆おわりに
……けっこうハードな「中国本」だけれど、ご興味がありましたらどうぞ。
読み終わった人の感想を聞いていると、そう評判が悪いわけではないみたい。
――――――――――――――――――――――――
次は告知。
安田の本に加えて、
年末に福島香織さんが石平さんと対談本を出されることもあって、
12月23日にひとまず『KINBRICKS NOW』主催で、
出版記念パーティー&みなさま感謝デーを企画しています。
日時:2011年12月23日
場所:未定(池袋か新宿あたり)
時間:午後7時頃
詳細こちら:https://plus.google.com/109836385916922365839/posts/RN9WDNKdo2Q
俺はともかく、キンブリの管理人氏とか福島香織さんを生で見られるチャンスです。
ご関心ある方は、ツイッターのDMかmeirojin@gmail.comまでどうぞ。
(コメ欄やツイッターで絡みがまったくない方でもOKです)
人数は多いに越したことは無いので、振るっていらしてください。
……宣伝と告知にエントリーを使ってしまって正直すまんかった。
では、また。
まず、10月の『独裁者の教養』に続いて、去る12月15日付けで次の本が出ました。
中国・電脳大国の嘘 「ネット世論」に騙されてはいけない(文藝春秋) 安田峰俊
担当編集者は、以前に『諸君!』の編集長を務めておられたベテランのS氏。
実は本の企画が2010年6月ごろから通っていたにも関わらず、
そうだ、アヘン軍閥行こう。とかバカなことばっかりやっていて延び延びになっていたのだ。
で、「フッ。私をここまで待たせてもいい書き手の方は桜●よ●こさんと安田君くらいだねえ。
世の中には偉い作家さんがいっぱいいるねえ……」
と赤ワインを片手に言われて怖かったので、7月から10月前半にかけて2カ月半で一気に書いた。
だけれど、執筆期間の短さに比して、正直言って結構満足できる内容でもあるのだ。
今回のベースになっているのは、
1.「最近、中国のネット事情とかアニメで日中交流とか、メディアで持て囃されすぎじゃね?」
2.「『中国人の本音』を、現在の自分の見解に沿って結論まで書き直したらどうなるか」。
このふたつになっている。
まず「1.」について。各位いかが思われるだろうか。
自分自身が長年そういうブログを運営していてアレなんだが、
最近、本屋やらネット記事やら、新聞やらテレビやらにおける
「中国ネット世論」と「アニメ文化交流」って
ちょっとばかり持て囃されすぎじゃね? (本来、そこまで信頼できなくね?)と思うのだ。
特に中国ネット世論への注目については、今年夏の高速鉄道衝突事故からが顕著だ。
最近の中国ニュースで、むちゃくちゃしょうもない事件(例.CCTVでやらせ発覚とかw)に対してすら
「中国ネット世論の反応が……」「ネット上では政府批判が沸騰」みたいな言葉が記事の末尾を飾るのは、
もはや毎度おなじみのことになりつつある。
過去、2008〜2009年ごろ、うちとか『ansan'sの楽しい中国新聞』あたりが
向こうの掲示板をチミチミ訳して紹介していた頃に、コメント欄に
「日本の国内メディアが注目しようとしない中国の事情がわかって助かります」的な意見が
けっこう見られたのを思い出すと、なんだか隔世の感がある。
……だが、どうも違和感を覚えるのも事実じゃないだろうか。
「中国ネット世論」や「日本アニメで日中相互理解」を重視していく、という昨今の現象。
従来からネットなりアニメなりを高く評価してきた人たちが、
その文脈の上で論じているならまだしもわからんでもないけれど、
実態がむしろそうではないのはご存知の通りだろう。
だって、現在、こうした主張をけっこう無批判に流している大手メディア様たちって、
ちょっと前までは「ネットの闇」とか「フィギュア萌え族」とか
ネットやアニメに対して偏見バリバリで犯罪の温床みたいに取り扱ってきた張本人そのものではなかったか。
「ネットの情報は信頼できない。新聞を読もう」という社説とか、
「犯人の部屋から美少女ゲームが見つかり……」と因果関係不明の説明をするTVのレポーターの姿とか、
彼ら自身は忘れていても、それを言われた俺らは忘れちゃいないッスよ、ねえ?
と、そのくらいの文句は言いたくもなる。
にもかかわらず、ネットの書き込みやアニメが、
中国報道やら、個々の「中国通」の記者や識者の主張の補強に役立つらしいとわかるや、
彼らは「ネットの闇」を「中国人の本音が垣間見える貴重な窓(笑)」だと説明するし、
「フィギュア萌え族」や「大人になりきれないネクラなオタク君(by 80年代価値観)」が
見るものだったはずのアニメは「日中の若者による相互理解と交流の舞台(笑)」になってしまう。
はなはだしくは、アダルトビデオまで「日中相互理解のかけはし(笑)」になってしまう。
で、「知ってたわー。俺ら前から、ネットとアニメ大事だと思ってたわー」という、
地獄のミサワみたいなドヤ顔で、それらが紹介されてしまうのである。
おいおい。どんだけ皮相上滑りなんだという話であり、
こりゃーなんぼなんでも変な事態だと言うしかないだろう。
……特にだな。「AVで日中友好」とかだな、
それをまともなメディアの人が取り上げるとか冗談キツイっしょオイ。
ぶっちゃけAVとは何かというと、
20歳そこらの女の子がカメラの前でアナルまで大公開して男優のものをバコバコはめる猥褻映像を
頭にヤがつく系のアンダーグランドな人たちが売りさばいて、
それを生活に疲れたカネの無いリーマンがビデオBOXで2時間6本1000円で見てスッキリするとか
ニートが父親のクレカでD●Mの動画をDLして「ゴミ箱を妊娠させる気?」状態で視聴するとか、
中学生が国道沿いのAV自販機に突撃したら免許証での成人チェック必須で玉砕して帰宅するとか、
要するにそういう構図がデフォの、限りなくどうしようもない残念系のダメ文化じゃねーかと。
(注、上記の描写が妙にリアルなのは気にしてはいけない)
もちろん、職業や業界に貴賎は無いし、
俺自身もむかし、ある事情で女優の晶エリーさんに会ったことがあるのだけれど、
プロの矜持を強く感じさせるキレイでかっこいい女性だった。
AVそのものにしても、カメラアングルその他でマジなエロさを表現し切っている作品については、
「この監督すげえ」とリモコン片手に惜しみない称賛を送りたくもなる(どの業界にも真のプロはいる)。
でも一方、AVがあまり表社会には出せない「残念系文化」であることも、やはり確かなことではないか。
こういう残念系文化が生み出す影響というのは、
うちみたいなB級ブログとか2chまとめブログとか、せいぜいSPA!とか週刊プレイボーイとかが
面白半分で「AVで日中友好かよwワロスww」と取り上げるくらいが本来しかるべきところだろう。
少なくとも、権威ある大メディアのエリート社員が上等なスーツ着ながらAV女優にインタビューして、
「彼女は意外と聡明であり」「その飾らない姿勢が両国の心の交流を生んだ(感動)」みたいなことを、
権威ある媒体で大真面目に書いておられるのは明らかに大迷走でしょと。
というか、誰かちゃんと突っ込んであげてよ! それはナンセンスすぎると!!
※「日中友好の新たな旗手」の出演作は『バコバコ乱交』とか『Sola様のM調教』とか『逆ソープ天国』なんだからな?
リベラル系の文脈から彼女を持ち上げている真面目な人たちは、その事実に対して誠実にちゃんと向き合っているのかい?
……とまあ、要するにそういうことである。
ただし、今回の本では「だから“マスゴミ”たちは偉そうな振りしてるだけで実はアホなんだ」みたいな
そういう酸っぱいブドウみたいな話をするつもりはない。
話題として不景気だし、それを主張しても生産的じゃないと思うからだ。
今回の本の内容というのは、
なぜそんな立派な大メディアや、俺らなんぞより余程勉強ができて賢いはずの人たちが、
こと中国の問題になるとアホな薄っぺらい話題に対してネタにマジレスしてしまうのか?
大メディアをはじめ真面目な人たちはどうして、
従来の「ネット&アニメ=悪」という姿勢からあっさり掌を返してまで
「中国民主化のめざめ」や「日中相互理解」という理想論を追いかける習性を持つのか―――?
という問題について、日中関係史の背景含めて解明していくという内容になっている。
もちろん、その過程においては、
「ネットは中国を変える」、「微博は中国を変える」、「アニメで日中相互理解」といった、
昨今の皮相上滑り系キーワードの内実の空虚さをキチキチ検証していくという作業もおこなっている。
※上記の話をフォローしておくと、実のところ大手メディアの中の人には、しっかりしている人も頭のいい人も非常にたくさんいる。
また、大手メディアが「権威」であることそれ自体も、あながち悪いことでは決してないと思う。
例えば、メディアが全部、東スポとかゲンダイになっちゃったり、
朝日新聞やNHKがハロワを通じてニートばっかりを記者職に採用したりする方がよっぽどヤバいはずである。
※そして、ここはブログだから挑発的に書いているが、実際の書籍の内容は落ち着いた文体でけっこう大人しい。
AVの話とかはそんなに多くは出てこないw
次に「2.」について。
この前、『KINBRICKS NOW』の管理人との対談で、こんな話が出た。
『中国人の本音』って、有名編集者の堀田純司さんが執筆段階で担当してくれたお蔭で、
すごくきれいな内容にまとまったし、中国情報としても良い本だったと思うんだけど、
「著者の意見」はあんまり無いんですよ。
紙の媒体で書くのが初めてのブロガーが、何をどう書けばいいのかわからないまま、
序論から結論まで堀田さんにおんぶされてゴールに連れて行ってもらった感がある。
もちろん、当時の自分の実力では
編集者に思い切り助けてもらわなきゃ1冊の本は書けなかった。
でも、完成した本からは著者自身の姿はあまり見えてこないし、
アクがなくてノッペラボーな印象もあったのも事実なんです。(略)
ただ、それでも「自分は『中国人の本音』での役割を守らなきゃいけないんだ」とか思うわけです。
100%自分の力で作ったわけでもない本に囚われすぎた。
「借り物の力なんか全部捨てちまえ!」と思い切るのに1年かかりました。
29歳の「中国ネットウォッチャー」がなぜ独裁王国に潜入したのか?安田峰俊『独裁者の教養』出版記念インタビュー(1)
要は、第一冊目の『中国人の本音』。
本のなかで出てくる個々の事例は正しいし、確かに俺が拾ってきて俺が書いているのだけれど、
「ネット(orアニメ)で民主化」とか「民間ベースでの日中相互理解」とか
「目覚めた中国人は徐々に増えていく」みたいな論そのものは、
ぶっちゃけた話、執筆の時点で自分自身が必ずしも明確にそういう主張を持っていたわけではないのだ。
※とはいえ、当時の自分がそれ以外に何か確固たる考えがあったわけでもない。
いまだから言うけれど、あの当時の時点では、 バリバリの日中友好論を掲げろと言われても“シナ人”排斥論を掲げろと言われても
おそらく「商売」として受け入れて、指示に従ってそういう本を作っていた可能性が非常に高い。
ただ、幸い当時の編集者の方は自分にとって比較的受け入れやすい論を提示してくれたので、それに従って書いたということなのだ)
しかし、編集者の方に序論から結論まで作ってもらって書いた本は、
当然ながら一冊の書籍としての出来は非常によいものになったものの、
その編集者が身辺からいなくなれば次の本では何も書けなくなる。
自分の本当の内面から、モノを考えて書いていたわけではないからだ。
それでしばらく困ってたんだが、最近いろいろやっていて
何となく自分の主張を形にできるようになったし、難しいことを考えるようにもなった。
そこでできたのが今回の本で、
自分の見解にもとづいた「中国論」を書いてみたのだ。
≪目次≫
◆はじめに
◆第1章 「日中アニメ文化交流」の嘘
辺境の街の「昇龍拳」/「日中文化交流」は本当に可能か?/宇多田ヒカルを歌う「反日」青年/
事実の本当、願望の嘘/「民工」たちの見るアニメ/「消費対象」としての外国文化/
ゼロコンマ以下の変化/思い入れ日中文化交流論
<コラム>「蒼井そら」ブームを斜め読みする
◆第2章 「対日感情」の嘘
骨董商のピンチ/「対日世論」をつくるもの/「反日」の背景/
「政治(ヂェンヂー)」としての反日デモ―2005年―/「政治(ヂェンヂー)」としての反日デモ―2010年―
/大きくブレる「ネット世論」/「親日」ネット世論の背景/蛇口が握られる「対日感情」
<コラム>「信頼できる」中国ネット世論
◆第3章 「ネット世論」の嘘
高速鉄道衝突事故、現地報告/中国世論の「分裂」 /「いちびり精神」の体制批判/
中国「ネット世論」の限界/中国版“ウェブはバカと暇人のもの”/
「ネット右翼」と「新意見階層」/開き直る中国政府と踊る日本人
<コラム>パクリかインスパイアか? 中国国産系ウェブサービスの怪
◆第4章 「ツイッター革命論」の嘘
あるギークとの出会い/「紅い万里の長城」に囲まれて/中国ネットユーザーの「超」最先端/
中国ツイッター民の素顔(一) ネット大好きの「ITオタク」/
中国ツイッター民の素顔(二) 外資企業社員と共産党員、現代中国社会の「エリート」たち/
中国ツイッター民の素顔(三) 「反体制派」の女性/
「IT人」たちの限界/「洋秀才」と「皇帝」
<コラム>辛亥革命とは何だったのか? 一〇〇年前の大事件を考える
◆第5章 「変化する中国」の嘘
「中国人民の性質」とは何か/韓寒・劉暁波・魏京生・魯迅・孫文・陳独秀・鄒容/
「バカばかり」の国――孫文とジャッキー・チェンの共通点とは?/
一〇〇年間、変われない中国人/「中国蔑視論」の誘惑/カン違いした人々/
「無限回廊」から脱出する処方箋
<コラム>「保守」と「革新」から考える日本人の中国観
◆おわりに
……けっこうハードな「中国本」だけれど、ご興味がありましたらどうぞ。
読み終わった人の感想を聞いていると、そう評判が悪いわけではないみたい。
――――――――――――――――――――――――
次は告知。
安田の本に加えて、
年末に福島香織さんが石平さんと対談本を出されることもあって、
12月23日にひとまず『KINBRICKS NOW』主催で、
出版記念パーティー&みなさま感謝デーを企画しています。
日時:2011年12月23日
場所:未定(池袋か新宿あたり)
時間:午後7時頃
詳細こちら:https://plus.google.com/109836385916922365839/posts/RN9WDNKdo2Q
俺はともかく、キンブリの管理人氏とか福島香織さんを生で見られるチャンスです。
ご関心ある方は、ツイッターのDMかmeirojin@gmail.comまでどうぞ。
(コメ欄やツイッターで絡みがまったくない方でもOKです)
人数は多いに越したことは無いので、振るっていらしてください。
……宣伝と告知にエントリーを使ってしまって正直すまんかった。
では、また。