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Channel: 大陸浪人のススメ 〜迷宮旅社別館〜
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【いまそこにある不条理】福建省のホテル用心棒とタクシー運転手が修羅場すぎる

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このブログでは過去、たまーに中国南部のカオスな人民たちの社会を紹介してきた。
具体的にいえば、福建省や広東省。
自分自身が初めて行った中国の街が福建の廈門や泉州だったり、むかし広東に留学してたり、
学生時代に清代ごろの福建省の農村を卒論その他のテーマにしていたりで、
個人的にここらへんの地域には思い入れが強いのだ。


この近辺について、例えば18世紀の清代の史料にはこんな記述がある。

地方惡少遊手、覓食訛索詐騙、官法懲之不悛者、律稱地棍。(『閩雑記』)

此等之人性好佚遊、習成驕恣、不畏刑憲。(『福建通志』)

漳俗好闘。鵪鶉始于游手好閑之徒。繼而士大夫家子弟亦有為之者。(『雲霄廳志』)

かいつまんで言えば、
ここらへんの地元のDQNはカツアゲやら悪さばかりをしてフリーダムかつバイオレンス、
官憲がこらしめても反省しない、むしろ官憲にびびらない。
なかには士大夫の子弟(現在でいう党地方幹部の息子)でも非行にはしるやつらがいる。
暴力好きすぎてマジ無理。  ……ということらしい。


で、さらに困ったことに、こうした話は清朝の時代で終わってはいなかった。
まず、うちのブログの過去記事の一部を紹介しておこう。


広東省農民「オラの村が隣の村と戦争をはじめるらしいんだが…」

広東省農民「オラの村が隣の村との戦争で焼き打ちされたんだが…」 

福建省南部の街が限りなくメトロシティな件について


うーむ、いい感じにヤバい。
そんなたけしの挑戦状みたいな出来事が日々身近にある福建省で、
先日またもやカオスな事件が発生した。

政治の民主化とかネット世論の伸長とか住民の権利意識の高まりとか、
昨今の中国に関する流行の話題がアホらしく思えてくるような、
あまりにも斜め上の当事者報告とその反応をご覧ください。






――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【漳州の大富豪ホテルで、タクシー運転手とガードマンが流血バトル】
原題「漳州大富豪事件 漳州大富豪酒店發生的士司機與保安械鬥」
『漳州論壇』「漳州印象」板

1 名前:名無し人民@常識があぶない 2011-8-6 11:54:43
ショウ州大富豪ホテル事件:

昨夜8月5日深夜11時ごろ、
数人のタクシー運転手たちがショウ州大富豪ホテルの入り口で客待ちの列を作っていたところ、
客待ち費用の支払いを巡ってホテルのガードマンと肉体的衝突に至った。

まず、ガードマンたちがナタと鉄パイプを手にして
タクシー運転手3人の頭部と身体のあちこちに重傷を負わせたことで、
仲間を呼んだ運転手約100人とホテル側のガードマン及び従業員20人との乱闘が発生した。

殴り合いの過程でホテルのガラス門は破壊され、ガードマン数名が負傷。
通報を受けてパトカー数台と警官20人あまりが現場に駆けつけて秩序を回復しようとしたが、
タクシー運転手側の人数は次々と仲間を呼んで増え続け、
20数人の警察では殴り合い現場をまったく収集することができない。

1時間余りの後、2台の特別警察(機動隊)車両が特別警察の約40人を乗せて現場に到着。
市の公安局長、運輸管理局局長、10軒あまりのタクシー会社社長たちも次々と現場にやってきた。

だが、タクシー運転手の人数がどんどん増え続けたため、
ホテル側は最初に運転手を殴ったガードマンの引き渡しを拒否。
運転手たちの不満は極度に高まり、事態はさらに深刻なものとなった。

特別警察ですら現場を支えきれなくなりかけたため、
消防用の高圧放水車1台と強力なサーチライトも現場に到着。
このとき、すでに6日未明3時になっていた。

3時30分ごろ、軍分区武装警察の大トラック2台が70人近い武装警察を搭載して現場に到着し、
事態はようやく沈静化された。

事件後に救急車2台が負傷した運転手数名を病院に送り届け、
警察が運転手たちの要求を受け入れて
殴り合いのリーダーとなったガードマン4人を連行した。


俺はショウ州でタクシー運転手として働いているが、
この事件にはもう腹が立って仕方ねえ。
もともと大した稼ぎにもならねえから、ホテルの前で客待ちをしていたってのに
ホテルのガードマンどもは「保護費用」を要求しやがる!
カネを払わないなら失せろってよ、クソが!!

道路はおまえらのもんじゃねえ。
この手の強盗行為はまったく軽蔑するぜ……。

  

  

  

  


2 名前:名無し人民@常識があぶない
怒らずに真面目に仕事をして稼げよ……。
はした金で騒ぎを起こすのはバカだけだぞ。



3 名前:名無し人民@常識があぶない
おいおい、この警察たちは何を守っているんだ?
みんなしてホテルの前に立ってやがる。
ちくしょうめ。
警察がホテルのガードマンみたいじゃねえか。

しかも運転手側に言われてから、やっと犯人4人を捕まえただと?
このダボが。
こういう良心に欠けたアホどもは数年くらいブチ込んでおけばいいんだよ。
でも、どうせどっかのエラいさんが手を回して数日で出てきやがるんだ。ボケ。
この社会はよお、もうちょっと警察をクビにしちまうべきだな。

  ※非常に汚い書き込みだが、だいたい原文ママ。投稿者も地元のタクシー運転手なのかもしれない。
   最後の一行の原文「這社會應該多放倒幾個警察」。訳が間違っているかもしれないのでご指摘歓迎。



4 名前:名無し人民@常識があぶない
ガードマンだと?
黒社会のゴロツキじゃないか!
ナタを持って勤務しているガードマンがどこにいるんだ!



5 名前:名無し人民@常識があぶない
大富豪ホテル?
富豪じゃなくてヤクザ映画みたいだよな。



7 名前:名無し人民@常識があぶない
人間が大勢出すぎだろ。



10 名前:名無し人民@常識があぶない
通りすがりだが、現場写真が壮観すぎるな。



12 名前:名無し人民@常識があぶない
警察はカネ持ちの後ろ盾さ。
よい警察なんて、パンダの生息頭数よりも少ないぜ。



13 名前:名無し人民@常識があぶない
タクシー運転手も感心できないしガードマンもひどい。
だが、問題の本当の原因は調べてみないとわからないだろう。

みんな、客観的に問題を見た方がいいと思う。
事件の実態は片方(=タクシー側)の人間だけの推測にあるんじゃない。
片手じゃ拍手は叩けないのさ。



14 名前:名無し人民@常識があぶない
>>3
警察をクビにしてどうなるっていうんだよ。
社会の安全はやっぱり警察がいるから守られる。
警察さんだって、社会の人間にもうちょっと仕事を理解してほしいと思ってるんじゃないかな?



15 名前:名無し人民@常識があぶない
ガードマンがナタを持っていたとか、ウソを書くんじゃねえ!
この街のタクシー運転手どもには仕置きが必要だ。
今回痛い目を見せておかなければ、次はもっとひどいことになるのさ。

  ※ガードマン側の人間の書き込みと思われる。



16 名前:名無し人民@常識があぶない
いや、先に殴ったやつが悪いんじゃないかと思う。



17 名前:名無し人民@常識があぶない
壮観すぎて頭がクラクラしてきた。
最近、ガードマンはどんどんスゲえことになってるよな。



19 名前:名無し人民@常識があぶない
こうなったのには原因がある。
タクシーが道をふさいで客待ちするのも、やっぱりマナーが悪い。



23 名前:名無し人民@常識があぶない  2011-8-7 05:15:18
昨日の大富豪ホテルの光景はマジですごかったぜ。
江西人どもはすごいな。あっという間に仲間を呼んで100人も集めやがる……。
重慶の文強の黒社会よりもヤバいんじゃないか!?

このタクシー運転手ども、みんな揃って黒社会の構成員だろ。

  ※書き込みからすると、タクシー運転手たちは隣の江西省からの出稼ぎ者なのかもしれない。
   同郷人のネットワークや同業者ギルドがさながら秘密結社のようになり、ちょっとしたいさかいで爆発するのは、
   例えば今年6月の子広州暴動なんかでも見られた。中国ではよくあることである。

  ※ちなみに書き込みに登場する「文強」とは、薄熙來にあぼーんされた重慶の司法トップ。マフィアと繋がりがあったとされる。



24 名前:名無し人民@常識があぶない
数年前のタクシー運転手のストライキを思い出してみろよ。
ストに参加しない奴は制裁を受けた。
なにか秘密結社みたいな組織があって仕切ってるんだよ。

まともな都市であれば、
いざこざの殴り合いにこんなに大勢の人間が出てくることはない。

  ※タクシー運転手秘密結社説だが、実はこれは根拠がない話ではない。
   中国では古来、運送業者や水夫が秘密結社を結成するケースが多々あり、
   有名どころでは『蒼天の拳』に登場する大マフィアの「青幇」も、
   江南と北京を結ぶ大運河の水夫たちのギルドから発展して結成されたとされている。

   あと、重慶のヤクザのルーツのひとつである(と思われる)秘密結社の哥老会も、もとは長江の水運業者だったという。
   ちなみにこの哥老会は後に「紅幇」の母体のひとつになり、
   彼らをモデルにした紅華会なるマフィア組織が後に霞拳志郎に爆殺されるわけだが、それは結構どうでもいい。



30 名前:名無し人民@常識があぶない
いまホテルで働いてるガードマンはみんなヤクザだよ。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――





……さて。
ナタや鉄パイプで相手をタコ殴りにする、大富豪ホテルの用心棒。
ドラクエのマドハンドさながらに仲間を呼びまくる運転手たちの秘密結社。
そして童話の「大きなかぶ」のごとく、事態収拾のためにどんどん色んな人がやってくる当局のみなさん。


もはや何が何だかよくわからないが、
いち好事家としては、そんな福建省は非常に楽しい場所であると思う。




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